合成界面活性剤は危ないの?
合成界面活性剤=悪 は根拠なき差別と同じ
近年は、インターネット上にシャンプーなどを独自に批評するサイトが乱立している状態ですが、
その中で実際に情報を掘り下げ、幅広い目線で公平に評価できているサイトはごく僅かです。
その中でも最もいい加減だな・・と感じるのが
合成界面活性剤=悪と一刀両断している方々。
合成界面活性剤が少しでも配合されていたら、それがどの種類の界面活性剤であっても、どのくらいの配合量であってもダメだというのです。
もちろん、そんな判断の仕方が正しいわけがありません。
そして、石鹸なら安心ですよ、という論理も矛盾だらけ、しかも正しいといえません。
合成界面活性剤は実に様々
そもそも界面活性剤の中には、
・陰イオン界面活性剤(アニオン)
・陽イオン界面活性剤(カチオン)
・両性界面活性剤
・非イオン界面活性剤(ノニオン)
と、性格の違う様々な種類があり、
それぞれのカテゴリの中にまた何十種類もの界面活性剤があります。
・陰イオン界面活性剤は、汚れなどのプラスに帯電したものを吸着させて、すすぎで道連れにして流す、という機能があります。つまり、シャンプーや洗剤の洗浄剤に使われます。
・陽イオン界面活性剤は、逆にマイナスに帯電している髪などに吸着して、洗いでも髪に残って保護するような働きをします。つまり、リンスや柔軟剤の主剤に使われる。
・両性界面活性剤は、陰イオン、陽イオンのどちらの性格も持つ素材で、洗浄性とコンディショニング性のいずれの働きもする素材であり、主に主洗浄剤の刺激緩和やコンディショニング効果、粘度調整などで利用されます。
・非イオン界面活性剤は、イオン化しない=肌を過度に脱脂したり、吸着してタンパク変性を起こしたりしない=肌への安全性が高いという特徴があり、クレンジング剤や洗浄剤の刺激緩和などに使われます。
陰イオン界面活性剤と陽イオン界面活性剤では真逆の性質を持つ他、非イオン界面活性剤では食品添加物に使われているものも多く、極めて高い安全性があるものが多いのです。
ちなみに、石けんはリスキー
石けんは合成界面活性剤ではない、と無意識に思っている方も多いのではないかと思いますが、
石けんこそ脂肪酸と水酸化カリウムなどを合成させて作る、まさに合成界面活性剤そのものなのです。
それだけでなく、石けんはアルカリ性でしか作れないという致命的欠点のため、
肌にも髪にも非常に負担が大きく、ダメージに直結します。
石けんは合成界面活性剤であり、しかも危険性が高い。
この部分を冷静に認識しておきましょう。
合成界面活性剤は危ないのか?
石けんや、一部の天然界面活性剤(ソープナッツやレシチン等)を除くものを合成界面活性剤、と定義するなら、
合成界面活性剤は果たして悪いものなのでしょうか?
可能な限りシンプルに答えるなら、
初期に作られたものの中には問題のあるものもあった、
ということです。
悪名高いラウリル硫酸ナトリウムよりもヤバい界面活性剤が、昔は平然と使われていましたが、
そのデメリットが明らかになり、新たに安全性の高い素材が開発され続けたことで、
現在使われている界面活性剤のほとんどは極めて安全性も環境分解性も高いものが増えているのです。
そして、前述のとおり食品添加物として使われるほど安全性の高い界面活性剤もある事を忘れてはいけません。
界面活性剤の中で注意すべきはこれ
安全な素材が増えた界面活性剤の中でも、今でもリスクが高いものは、カチオン界面活性剤です。
いわゆる、リンスやトリートメントの多くの基材として使われているものです。
イオン吸着性を持つため、流しても残留しやすいこと、タンパク変性を起こす力が洗浄剤より遥かに強いことから、
皮膚に炎症を起こすリスクが非常に強い上、環境分解性も一般的に悪いものが多いのです。
ただし、カチオン界面活性剤はそもそも、
・髪にしか塗布せず、頭皮にはつけない。
・速やかに洗い流す
ことを前提として使う分には危険性を回避できます。
また、コンディショニング効果は落ちるものの、安全性や分解性を重視したカチオン界面活性剤も開発され始めています。
トリートメントやリンスを使う際は、このあたりの事情も考慮しましょう。
合成界面活性剤は、安心と便利のために作られている
合成界面活性剤というのは、使用目的に合わせて、出来る限り安全性を考慮して人工的に作られた界面活性剤です。
人々を不安に陥れるためにわざわざ有害なものを作ったりはしません。
きちんとコントロールされてより良い合成界面活性剤が作られ続けているのです。
古代の技術である石けんより、ずっと安心して便利に使えるものばかりです。
気をつける点をきちんと抑えて、自分の好みに合う界面活性剤の種類を探す、という向き合い方が理想であると思います。